16Apr
2018
2018/04/16 2018/04/17 永瀬なみコラム
逮捕だけじゃ意味ないよ…詐欺で取られたお金が返ってこない理由2つ
最近はテレビでも特集を組まれることが多くなり、世の中の『詐欺』への関心は高まっているように感じます。
ところでみなさん、もし自分がいつか詐欺の被害に遭ったとしても「返してもらえば大丈夫」と思っていませんか?
今回は、『詐欺で騙し取られたお金は返してもらえないこともある』というお話です。
すべての詐欺で警察が動いてくれるわけではない
あなたは、もし「コレは詐欺かも!?」と気付いたらどうしますか?
多くの方は友達や家族、そして警察に相談しますよね。
場合によっては、振り込んだ銀行に相談するということもあるでしょう。
でも、オレオレ詐欺などの『明白な詐欺』でない限り警察が動いてくれることは少ないようです。
さらに、もし上手く立証できて裁判になったとしても騙し取られたお金を返してもらえないことも多く、示談にもち込まれることもあれば支払い命令が出ても返してもらえないということがあります。
でも、最近では『振り込め詐欺救済法』により、振り込んだ先の銀行によって振り込め詐欺の被害者に振込金額の全額または一部が返還される手続きが進められるようになりました。
振り込め詐欺救済法とは?
振り込め詐欺等の被害に遭われた方のために、金融機関の犯罪利用口座に振り込まれ、口座に滞留している犯罪被害金の支払手続等を定めた法律です。
ただし、この場合もその振り込んだ口座の残高によっては騙し取られたお金がほとんど返ってこないこともあります。
では、なぜ『詐欺』だと分かっているにも関わらずその犯人からお金を返してもらうことができないのでしょうか?
理由①:無い袖は振れない
例えば、先ほどご紹介した『振り込め詐欺救済法』の場合、振込先の銀行に「この口座は振り込め詐欺に使われている口座です!」と報告することでその振込先口座を“凍結”してもらうことができます。
そして、その“凍結した口座”に残っているお金を詐欺被害者の人たちへ返還する手続きを進めてもらう、というのが『振り込め詐欺救済法』です。
でも、その“凍結した口座”の残高が1,000円未満だった場合はその手続きは行われません。
もし詐欺師がこのことを知っていれば、振り込まれたお金は早い段階でおろしておくのではないでしょうか。
そして、裁判で支払い命令が出された場合も同じことが言えます。
詐欺師が、もし騙し取ったお金を自分の口座などに入れて保管しているなら裁判命令によって差し押さえてもらうこともできるでしょう。
でも、詐欺師はそもそも『詐欺』を生業(なりわい)として生きている『輩(やから)』です。
自分が捕まったときのことを想定していたとしたら、そんな分かりやすいところに保管しておくでしょうか?
普通に考えて、誰にも見つからないところへ隠すのでは?
それに、もしかしたら本当にもう全部のお金を使い切ってしまっている可能性もあります。
その場合は、いくら「返せ!!」と言ったところで「無いものは無い」と言われてしまえば警察や裁判所でさえ手も足も出せないということです。
理由②:相手も人間→生活を保障する必要がある
預金がダメなら毎月の給料を差し押さえてもらうことはできないのか?
と思う人もいるかもしれませんが、よく考えてください。
相手は『詐欺師』ですから、毎月の給料なんてありませんよね。
仮に、サラリーマンをしながら副業として『詐欺師』をしていたのだとしても、月給としてある程度の金額をもらっている人でなければ強制執行はできない可能性があります。
その理由は、法律で「生活費を残しておかなければいけない」と決められているからです。
人のお金を騙し取るようなヤツの生活費のことなんか考えてられるか!!
と怒りたくなる気持ちは分かります。
でも、残念ながら日本の法律ではそのように決められているのです。
つまり、相手が『しっかりした会社で働いているサラリーマン&高給取り』なら給料を差し押さえられる可能性はあるけど、『中小企業で働いていて最低限の月収しかない』場合は差し押さえも難しい、ということ。
もし、手書きの給料明細+給料を現金でもらっているような場合や、その会社の人たちもグルだった場合はもっと最悪です。
普通に考えればあり得ないような金額(例えば10万円以下)でも「これしか払っていません」と会社に言われてしまえば、いくら「もっと貰っているだろう!?」と騒ぎ立てても証拠がありません。
このように、やり方次第では『給料をもらっていないフリ』なんていくらでもできてしまうので、もし裁判所から「給料を差し押さえます」という命令が出されても「結局は差し押さえなんてできなかった」という可能性は充分にあり得ます。
おわりに
いかがでしたか?
立証さえできれば、警察は犯人を逮捕してくれるでしょう。
でも、本来の目的である『返金』に関しては誰も約束してくれません。
「貸したつもりが詐欺だった」ということも多いので、たとえ誰が相手でも『お金を貸すときは返ってこないものと思え』という名言を忘れないでくださいね。
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